令和5年(2023)11月20日 八幡上町会館にて八幡町1・2丁目町会町会長、副町会長を招待し、復元事業に至るまでの経緯、修繕時の課題などを伺った。
八幡町旧二丁目(通称:閑古の山車)は八王子最古の山車である。老朽化により30年近く山車小屋に眠っていたものを市制100周年を機会に修繕を開始。令和元年(2019)に復元を達成し、お披露目された。*極彩色の閑古鳥は「山王祭」に影響を受けたものである。従って中町町会で所有する白亜の諫鼓鳥は「神田祭」の影響を受けたものとされる。
令和5年(2023)12月8日 三味線胴彫刻をはじめ山車収蔵庫に眠っていた部材を調査するため、吉匠建築工藝、相原悦夫氏、八王子市文化財課担当者に立ち会っていただいた。最新技術の3Dスキャンを駆使しながら精密なデータを測定し、山車の歪みや修繕箇所の確認が行われた。調査の結果三味線胴彫刻「獅子に牡丹」3枚、三味線胴金具、岩座下駄4コ、雲形彫刻、芯柱、揚げ裏など貴重な部材が確認された。
令和6年(2024)3月24日 南町山車収蔵庫にて山車見学会を行った。南町は平成18年(2006)に「応神天皇を抱く武内宿禰と龍神」の人形を復元。平成24年(2014)に市内初の一本柱立て人形山車復元事業を成し遂げ、周辺地域の注目を集めた町会である。山車修繕の概要、人形の立ち上げに関すること、山車曳行の情報共有なども行われた。
*南町山車は明治39年建造 工匠:小町小三郎 彫刻:小松光重
令和6年(2024)9月15日 拝島日吉神社「榊祭」屋台行列見学会を行った。拝島はかつては日光火の番に向かう千人同心が往来する街道として栄えた宿場町である。西から上宿、中宿、下宿の三宿に分かれており、その名残は加美町、奈賀町、志茂町と屋台に見ることができる。行列に参加する3台の屋台は全て「一本柱人形山車」の構造を有し、平成14年の志茂町屋台人形立ち上げ復元は八王子に大きな衝撃を与えた。穏やかな時の流れを感じながら、地域の人が力を合わせて人形を立ち上げる姿が印象に残る見学会であった。
令和6年(2024)12月 八幡上町山車は21世紀ならではのアップデートが行われた。山車照明の変遷は次のとおりである。大正期~平成初期までアセチレンガスを使用していた。ゆらゆらと揺れる幻想的な燈火は見る者をうっとりさせるものの、山車に煤がつくなどの課題があった。平成中期に入ると照明は白熱電球へと置き換えられた。安心安全な夜間巡行…といくはずが、発電機の電力供給における燃料、ガソリンの取り扱いが問題となった。木造建築の山車における発火のリスクを抑制すべく、ガスボンベ式の発電機「エネポ」の導入を決定。また、消費電力を抑えるために全照明のLED化も実行した。排熱・排気ガスの解消、稼働音の減音、消費電力を1/10に抑えることに成功した。